トイレ、台所、浴室、洗面台など、排水口のつまりが自然に解消されることは稀です。
放置しておけば、水があふれてしまいそのうち床や壁、家具にまで被害が及びます。
あわてて専門業者を呼ぶ前に、まずは真空式パイプクリーナーの使用を検討してみましょう。
真空式パイプクリーナーは、初期の段階であれば、水回り全般のつまりに対処できるため、一家に1台あると便利なアイテムです。
真空式パイプクリーナーがつまりを解消する仕組み、具体的な使い方、値段や注意点も合わせてお伝えします。
もくじ
真空式パイプクリーナーとは
排水口のつまりを解消するアイテムには、以下のようなものがあります。
- 液体洗浄剤
- 粉末洗浄剤
- ワイヤーブラシ
- 加圧式パイプクリーナー
- ラバーカップ
- 真空式パイプクリーナー
洗浄剤は、髪の毛や油を溶かします。固形物のつまりには適しませんが、定期的な使用で、つまりの予防になります。
ワイヤーブラシは、つまりの原因となっている物体を、直接かき出して取り除きます。
加圧式パイプクリーナーは、つまりの原因を押し流すものですが、実際の効果は穏やかなので、水流や臭いの改善に使うとよいでしょう。
ラバーカップは、手動で排水口に圧力をかけ、つまりの原因を引き抜きます。俗に「スッポン」とも呼ばれますね。
真空式パイプクリーナーは、別名を「真空ポンプ」といい、ポンプ式で排水口に圧力をかけ、つまりの原因を引き抜きます。
手動でない分、吸引力が強く、なおかつ力が無くても扱えるため、高齢の人や女性でも安心です。
他に、ローポンプや高圧洗浄機もあげられますが、値段が高く、使い方も難しいため、一般的とはいえません。主に業者が使用します。
真空式パイプクリーナーの特徴と仕組み
真空式パイプクリーナーは、本体が筒状で、上部にハンドルが付いているのが特徴です。
下部にあたる先端部分は、排水口の種類で形状が違うため、用途に応じて使い分けます。
つまりを吸引する仕組みは、いたってシンプルです。
- ハンドルを引いて、先端から水や空気を吸い込み、筒の中にため込む。
- ハンドルを押して、水や空気を押し出す。
どんなときに使えばいい?
真空式パイプクリーナーが解消できるつまりは、水に溶けるもの、油のぬめり、圧力をかければ引き抜けるものに限ります。
したがって、水に溶けないもの、固形物、大き過ぎるものや多過ぎるものが詰まった場合は、水道修理業者に対応を任せるのが賢明です。
無理な圧力をかけると、つまりの原因は奥に移動して、配菅まで進んでしまいます。
こうなると、水道修理業者の屋内作業では対応できず、配管清掃業者の屋外作業が必要となり、費用も時間もかさみます。
真空式パイプクリーナーの具体的な使い方と注意点
真空式パイプクリーナーで解消できるトラブルと、解消できないケースを仕分けします。
真空式パイプクリーナーで解消できるつまりのトラブル
- トイレ
→トイレットペーパー、排泄物、トイレ用洗剤、トイレ用掃除シートなど - 台所
→油分、液体、野菜くずや食べ残し、台所洗剤など - 浴室
→髪の毛や体毛、シャンプーやボディソープ類、スクラブやオイル、入浴剤など - 洗面台
→髪の毛、整髪剤、洗顔料など
真空式パイプクリーナーで解消できないトラブル
トイレ
- 大量のトイレットペーパーや便
- 子どもがポケットから落としたおもちゃ
- 掃除グッズのパーツ(プラスティックなど)
- 生理用品
- 座ったときにはがれた湿布
特に湿布を流してしまうと、濡れた湿布が大きく膨らんで、ネバネバが便器の奥まで広がります。
真空式パイプクリーナーは使用せず、水道修理業者や専門業者に任せてください。
台所
- 大量の溶けにくい食材
- 大量の油
- ビニールの包装
- シンク磨きのスポンジ(激落ちくんなど)
案外多いのが、シンクを洗うスポンジです。ついでに排水口の掃除をした際、水と一緒にスポンジを流してしまうようです。
スポンジは、それ自体は柔らかいですが、あくまでも固形物です。水に溶けませんから、真空式パイプクリーナーでは対処しきれません。
無理をすると、つまりが配管まで進んでしまいます。
浴室・洗面台
洗面台とお風呂のつまりは、ほとんどが髪の毛や体毛です。
根気強く繰り返せば、つまりが解消するでしょう。
洗濯機のトラブルにパイプクリーナーは使用できません。修理業者に連絡・洗濯機の買い替え・洗濯代行の依頼などで対応しましょう。
事前の準備
事前に、濡れたり汚れたりしてもいい服装に着替えます。
排水口から何か出てくるかもしれませんから、取り出すためのビニール手袋もしてください。
自動洗浄機能が付いたトイレ、自動水栓が付いた洗面台は、勝手に水が流れないよう、センサーを止めるか、止水栓を締めておきましょう。
真空式パイプクリーナーを使っている最中、もし何かの拍子で体勢のバランスが崩れると、とんでもない方向に液体が飛び散ることが考えられます。
周囲への飛び散りを防ぐため、ビニールや新聞紙で養生(カバー)をしておきます。床と壁、近くの家具にもしておきましょう。
トイレの場合:穴を開けたビニール袋で便座ごと覆い、穴から真空式パイプクリーナーを入れて作業すると万全です。
洗面台の場合:オーバーフローと呼ばれる排水の穴があるので、タオルかガムテープで、ふさいでおきます。
養生の必要がないのは浴室だけです。
作業の手順
- 先端部分のラバーカップを、排水口にぴったりと密着させる。
- 先端と本体を、排水口に押し付けながら、ハンドルを勢いよく引く。
- ゆっくり静かにハンドルを押す。
- ②③を繰り返す。
- ゴボゴボ……という音や手応えが終了の合図。
- 試しに水を流してみる。
※固形物が浮いて出てきたら、必ず手で取り除くこと(流してしまうと、元の木阿弥になりかねません)。
使うときの注意点
ハンドルを引くとき、つい本体ごと引き上げてしまいがちですが、空気が漏れてしまうため、吸引し損ねます。
先端部分が排水口から浮かないよう注意してください。
上手に使うコツは、「ハンドルを押すときはゆっくり、引くときは勢いをつける」という鉄則です。
このルールを反対にすると、つまりが解消されないばかりか、水が噴き出して自分にかかる可能性があります。
トイレの場合は汚水ですから、慎重に作業しましょう。
真空式パイプクリーナーを買う前に
これから真空式パイプクリーナーを購入する予定でしたら、先端部分のラバーカップが取り外せて、用途に応じた交換が可能なタイプが便利です。
知っておきたいポイント
トイレは和式、洋式の違いだけですが、台所、浴室、洗面台などの排水口は、S、M、Lといったサイズ分けをした商品が多いです。
購入前に、排水口の直径を測っておきましょう。
どこで売ってる?値段は?
真空式パイプクリーナーは、大抵のホームセンターには置いてあります。
また、通販でも購入できます。販売価格は、1,000円から3,000円程度が目安です。
ラバーカップは、スーパーの掃除用具売り場、日用品が多く並ぶドン・キホーテや100円ショップなどでも目にしますが、真空式パイプクリーナーが置いてあることは少ないです。
まとめ
お風呂のように数日我慢できる場合はともかく、トイレのように一刻もガマンができないケースもあります。
そんなときに活躍してくれるのが、真空式パイプクリーナーです。
おすすめは、年末の大掃除で、家中の排水口に真空式パイプクリーナーをかけておくこと!
毎年実践するだけで、つまりのトラブルが、年間を通してぐっと減るはずです。
普段は、定期的な洗浄剤の使用で、つまりを予防するのも忘れずに。
自分でできるトイレ修理についてはこちらでも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。